7. ローマ字入力以外の入力方式

DDSKK は、SKK 旧来のローマ字式かな入力(訓令式、ヘボン式)方式のほか、各種キー配 列と入力方式に対応しています。

7.1. AZIK

AZIK (エイズィック) は、QWERTY 配列をベースとした拡張ローマ字入力です。一般のローマ字入力がそのまま使 える上での拡張であることが特徴です。

defvar skk-use-azik

non-nil であれば AZIK 拡張が有効となります。 ファイル ~/.skk(setq skk-use-azik t) と書きます。

defvar skk-azik-keyboard-type

AZIK で使うときのキーボードのタイプをシンボルで指定する。

シンボル キーボードのタイプ
シンボル 'jp106 日本語 106 キーボード(標準設定)
シンボル 'jp-pc98 NEC PC-98 キーボード
シンボル 'us101 英語キーボード
nil キーボード依存処理を無効にする

azik と skk で仕様が重なる部分があるため、ファイル skk-azik.el では以下のとおり対 応しています。

q

AZIK では、撥音「ん」を入力するには q を使うこととされていますが、 skk では既に q に関数 skk-toggle-kana を割り当てています。

そのため、ファイル skk-azik.el では関数 skk-toggle-kana の実行を

  • 日本語キーボードであれば @
  • 英語キーボードであれば [

それぞれ使用します。

@

上記のとおり、関数 skk-toggle-kana の実行には @ (日本語キーボード) や [ (英語キーボード)を使用しますが、skk では既に @ には「今日 の日付の入力」( プログラム実行変換 )を割り当てて います。

そのため、skk 本来の動作には x を付けて、それぞれ x@x[ で代用できるようにしてあります。

l
xx

AZIK では、単独の拗音「ゃゅょぁぃぅぇぉゎ」を入力するには l を前置する こととされていますが、skk では既に l に「アスキーモードへの切り替え」 を割り当てています。

そのため、ファイル skk-azik.el では、拗音のうち「ぁぃぅぇぉ」 の入力については xx を前置することとしています。

  • xxa → ぁ
  • xxi → ぃ
  • xxu → ぅ
  • xxe → ぇ
  • xxo → ぉ

なお、拗音のうち「ゃゅょゎ」の単独入力は、AZIK 拡張ファイル skk-azik.el では なく、標準ファイル skk-vars.el です。

  • xya → ゃ
  • xyu → ゅ
  • xyo → ょ
  • xwa → ゎ
X

skk では、▼モードでの X は関数 skk-purge-from-jisyo を実行し ますが、AZIK では X は「シャ行」の入力に使われます。

そのため、ファイル skk-azik.el での 誤った登録の削除 は、 ▼モードで M-x skk-purge-from-jisyo を実行してください。

7.2. ACT

ACT (AZIK on Dvorak) は AZIK の考え方を Dvorak 配列に適用し、Dvorak 配列でかなを快適にタイプできるように 考案された方式です。

defvar skk-use-act

non-nil であれば、 ACT 拡張が有効となります。 ファイル ~/.skk(setq skk-use-act t) と書きます。

7.3. TUT-code

TUT-code は、2ストローク系 の日本語直接入力方式の一つです。

使用するには、SKK のインストール時にいくつかのファイルをインストールする必要があ ります。

SKK ソースの tut-code ディレクトリにあるファイル skk-tutcdef.el と ファイル skk-tutcode.el を SKK ソースのトップディレクトリにコピーしてから、 あらためて SKK をインストールします。

その後、ファイル ~/.skk(require 'skk-tutcdef) と書きます。

7.4. かな入力と親指シフト

DDSKK はローマ字式ではない、いわゆるかな入力方式をサポートします。具体的には

  • 旧 JIS 配列でのかな入力
  • 親指シフト方式でのかな入力

に対応しています。これを使うにはまず、nicola-ddskk 拡張パッケージをインストールす る必要があります。SKK ソースのディレクトリ nicola に移動し、ドキュメント に従ってインストールしてください。

https://github.com/skk-dev/ddskk/blob/master/nicola/README.ja

defvar skk-use-kana-keyboard

non-nil に設定すると、かな入力サポートが SKK 起動時に有効になります。

(setq skk-use-kana-keyboard t)
defvar skk-kanagaki-keyboard-type

適切なシンボルを設定することで、かな入力サポートの種類を切り換えます。

シンボル '106-jis
日本語 106 キーボード (旧 JIS 配列) でのかな入力に対応します。
(setq skk-kanagaki-keyboard-type '106-jis)
シンボル 'nicola-jis
日本語 106 キーボード (旧 JIS 配列) での親指シフトエミュレーションに対応します。
(setq skk-kanagaki-keyboard-type 'nicola-jis)
シンボル 'nicola-us  
シンボル 'nicola-dvorak  
シンボル 'nicola-colemak  
シンボル 'omelet-jis
'nicola-jis と同様ですが、より入力しやすい配列が考慮されています。
(setq skk-kanagaki-keyboard-type 'omelet-jis)
シンボル 'omelet-us  
シンボル 'omelet-dvorak  
シンボル 'omelet-colemak  
シンボル 'oasys  

かな入力方式使用時の■モードでは、以下のコマンドなどが役に立ちます。

F1 1

かな入力方式での特殊キー定義の一覧を表示します。

F1 2

かな入力方式でのかなキー配列を表示します。

F12

かな入力方式とローマ字入力方式とを切り換えます。

なお、親指シフト方式については NICOLA 日本語入力コンソーシアム を参照してください。