4. はじめの設定

標準的にインストールした場合は、特段の設定なしに Emacs を起動するだけで DDSKK が 使える状態になります。自動的にファイル skk-setup.el が読み込まれ、 設定されます [1] 。この自動設定によらずに手動で設定したい場合は、以下の説明を参 照してください。

4.1. 最も基本的な設定

自動設定によらず手動で設定する場合は、次の内容をファイル ~/.emacs.d/init.el に 書きます [2]

(require 'skk-autoloads)
(global-set-key "\C-x\C-j" 'skk-mode)
(global-set-key "\C-xj" 'skk-auto-fill-mode)
(global-set-key "\C-xt" 'skk-tutorial)

辞書サーバを使わない場合は、辞書ファイルを指定する必要があります。

(setq skk-large-jisyo "/your/path/to/SKK-JISYO.L")

辞書サーバを使わない場合は Emacs のバッファに変数 skk-large-jisyo が指すファイル を取り込んで使用するためメモリ使用量が増加します。これが支障となる場合は、上記の ファイル SKK-JISYO.LSKK-JISYO.MSKK-JISYO.ML 又は SKK-JISYO.S に変更してください。

DDSKK 14.1 以降は辞書サーバを経由せずとも CDB 形式 [3] の辞書ファイルを直接利用 できるようになりました。CDB 形式辞書ファイル [4] を利用する場合は、以下のように 指定してください。

(setq skk-cdb-large-jisyo "/your/path/to/SKK-JISYO.L.cdb")

変数 skk-large-jisyo と変数 skk-cdb-large-jisyo を同時 に指定した場合は、標準では CDB 形式辞書ファイルの方が先に検索 [5] されます。

4.2. インクリメント検索の設定

基本的な設定はファイル skk-setup.el が読み込まれた時点で完了しています [6]

defvar skk-isearch-mode-enable

この変数はファイル ~/.emacs.d/init.elM-x customize-variable で設定し てください。

Non-nil (標準設定は t ) SKK が ON になっているバッファで skk-isearch を有効にします。
nil skk-isearch を無効にすることができます。
シンボル 'always SKK が ON になっていないバッファでも skk-isearch を有効にします。

4.3. 辞書サーバを使いたいときの設定

辞書サーバを使いたいときは、ファイル ~/.skk で以下のように設定します。

(setq skk-server-host "example.org")
(setq skk-server-portnum 1178)
defvar skk-server-host

辞書サーバが起動しているホスト名又は IP アドレス。

defvar skk-server-portnum

辞書サーバが使うポート番号。ファイル /etc/servicesskkserv のエ ントリが記述されていれば、この変数を指定する必要は無い。

defvar skk-server-prog

辞書サーバプログラムをフルパスで指定する。

defvar skk-server-jisyo

辞書サーバに渡す辞書をフルパスで指定する。辞書サーバによっては独自の方法で辞書 ファイルを指定して emacs からの指定を無視するものもあります。詳しくは各辞書サー バの説明書を読んで下さい。

これらの設定は、環境変数を利用して下記のようにすることもできます。

  • B シェルの場合(sh, bash, ksh, zsh など)

    export SKKSERVER=example.org
    export SKKSERV=/your/path/to/skkserv
    export SKK_JISYO=/your/path/to/SKK-JISYO.L
    
  • C シェルの場合(csh, tcsh など)

    setenv SKKSERVER example.org
    setenv SKKSERV /your/path/to/skkserv
    setenv SKK_JISYO /your/path/to/SKK-JISYO.L
    

関連項目

4.4. DDSKK を Emacs の Input Method とする

Emacs の標準キーバインドでは C-\ を打鍵すると、関数 toggle-input-method を 実行します。この関数は、変数 default-input-method が指す input method を トグル切り替えします。

変数 default-input-method の値はおそらく Japanese であり、結果として C-\ の打鍵で LEIM (Library of Emacs Input Method) を on / off します。

使用可能な input method は M-x list-input-methods で確認することができ、コ マンド M-x set-input-method 又は C-x RET C-\ を実行することで input method を切り替えることができます。

ファイル:file:skk-leim.el から生成されるファイル skk-autoloads.el で input method をふたつ追加しています。

input method 内容
"japanese-skk" 関数 (skk-mode 1)
"japanese-skk-auto-fill" :関数 el:defun:(skk-auto-fill-mode 1)
defvar default-input-method

Emacs 起動時の input method を DDSKK とするには、ファイル ~/.emacs.d/init.el

(setq default-input-method "japanese-skk")

と記述してください。

脚注

[1]Emacs が起動する過程の関数 normal-top-level でファイル SKK_LISPDIR/leim-list.el が 読み込まれます。 ファイル leim-list.el はファイル skk-autoloads.el とファイル skk-setup.el を require します。 ファイル skk-autoloads.el は DDSKK の make 時に自動的に生成され るファイルであり、各関数を autoload するよう定義するほか 関数 register-input-method も行います。 ファイル skk-setup.el はキーバインド( C-x C-jskk-mode )の定義、 変数 skk-tut-file の定義及びインクリメンタル・サーチの定義を行っています。
[2]配布物にサンプルとしてファイル etc/dot.emacs とファイル etc/dot.skk が あります。参考にして下さい。
[3]constant database のこと。 詳しくは http://cr.yp.to/cdb.html 又は http://ja.wikipedia.org/wiki/Cdb を 参照のこと。
[4]SKK 辞書のファイル Makefile 中の cdb ターゲットを実行することで ファイル SKK-JISYO.L に基づくファイル SKK-JISYO.L.cdb を生 成することができます。
[5]辞書検索の設定の具体例
[6]ファイル skk-setup.el では、 isearch-mode-hook に関数 skk-isearch-setup-maybe を、 isearch-mode-end-hook に関数 skk-isearch-cleanup-maybe をそれぞれ追加 しています。 関数 skk-isearch-{setup|cleanup}-maybe もファイル skk-setup.el で 定義されており、その実体は、関数 skk-isearch-mode-{setup|cleanup} です。